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2024/08/13  ©岐阜新聞社

はぐくみのわPROJECT 家庭のぬくもり 里親が伝える 85%が養育里親希望

 貧困や虐待、実親の病気など、さまざまな事情で自分の家族と暮らせない子どもを家庭に迎え入れ、実の親の代わりに育てる里親制度。児童養護施設や乳児院よりも家庭の方が1対1の愛着関係が形成されやすいことが広く言われるようになったことで、里親の重要性が改めて認識されている。
 厚労省が定める10月の「里親月間」を前に、今回のはぐくみのわでは里親制度について紹介していく。

 

◆昨年度県内 238世帯が里親登録 要保護児童数に対し不足
 実家庭で生活できない要保護児童の数は、厚労省のまとめによると全国に4万2千人ほどいるとされる。その多くが児童養護施設や乳児院等で生活しており、2021年3月現在の厚労省の福祉行政報告例によると、登録里親数は1万4401世帯で、実際に里親の元で暮らしている児童の数は6019人ほどにとどまっている。
 岐阜県の21年度末時点での要保護児童の数は512人。238世帯が里親登録し、84人が里親の元で生活している。前年度と比べ登録数は39世帯が増加、里親の元で暮らす子どもの数は13人増えているものの、里親委託率は16・4%(ファミリーホームを含んだ数、前年度は14・2%)と、全国平均の22・8%(20年度末)にすら満たない。県の担当者は「6年前の児童福祉法の一部改正で、家庭養育優先の理念が明文化されたものの、まだ16・4%しか里親に預けることができていない。この数字を7年後までに41・7%にすることが目標」としている。
 里親と一言で言っても、実親と暮らせない原則18歳未満の子どもを一定期間家庭に迎え入れて養育する「養育里親」、養子縁組を前提とする「養子縁組里親」、虐待や非行、障害などの理由から専門的な援助を必要とする子どもを迎え入れる「専門里親」、実親が養育できない場合に祖父母らが養育する「親族里親」の4種類がある。
 里親と聞くと「養子縁組を希望している人が登録するもの」という印象を持っている人は少なくないと思われるが、県内の238世帯の里親登録のうち、養子縁組里親の登録は110世帯。一方、養育里親の希望世帯は204世帯(いずれも重複登録を含む)と登録者の85%以上を占めている。
 養育里親は、実親の戸籍に入ったまま預けられ、子どもの生活費は公費でまかなわれるため金銭面での負担は基本的にはない。18歳未満の実子がいる場合でも受け入れることができる。期間は数週間から年単位までとさまざまで、子どもと実親、里親の状況などを照らし合わせながら決めていく。
 里親になるには居住地域の子ども相談センター(児童相談所)に連絡し、研修を受け、登録することが必要。特別な資格や子育て経験の有無は問わない。高齢の方や共働き家庭(養育に支障のない範囲)でも登録できる。ただ、登録後すぐに子どもとの生活が始まるとは限らない。

 

◇養育里親
家族と暮らせない子どもを一定期間、自分の家庭に迎え入れて養育する里親

 

◇養子縁組里親
養子縁組によって、子どもの養親になることを希望する里親

 

◇専門里親
虐待や非行、障害など専門的な援助を必要とする子どもを養育する里親

 

◇親族里親
実親が死亡などによって養育できない場合に親族が子どもを養育する里親

 

◆里親になりませんか ~経験者2人に聞くやりがいや思い~ 

◆伊藤里子さん 目に見えない大切なものをもらう毎日
家族構成…夫と里子さん、養育里親として6カ月の女児。長男夫婦と2歳、1歳の子ども、里子さんの次男、三男も同居。

 -里親になったきっかけは。
 現在23歳の三男が中学生の時、友達が年末年始を一人で過ごさなければならないことになり、うちに来てもらうことになりました。その後、その友達は児童養護施設に入所しましたが、高校3年生のときも半年ほどうちで預かりました。
 里親制度自体は以前から知っていましたが、三男の友達をきっかけに施設と関わるようになり、身近に感じたため、養育里親に登録することにしました。勉強部屋が用意できるほど部屋数がありませんので、できれば幼い子でという希望は出しました。そして2020年2月に10カ月の女の子が来て、1歳半ぐらいまで預かりました。
 今預かっている里子は生後5日目でうちにきました。今でやっと生後半年ほど。目を離せませんが、うちには大人が7人いますし、長男のお嫁さんは基本的にいますので、私が買い物に行くときは見てもらうなどしています。
 -里親になることについての家族の反応は。
 誰一人反対することはなかったです。うちの子は高校時代、寮生活をしていて、その中にも里子がいたようです。寮では、実親がいる子もいない子も生活自体はみんな同じですので、里子について特別な感情などを持っていなかったのもスムーズに行った理由の一つかもしれません。
 長男のお嫁さんは、子育て真っ只中ですが、里子に対しても本当に良くしてくれています。私としては、里親という立場で乳児を育てたおかげで現在の子育てがわかり、孫が生まれても戸惑うことはありませんでした。
 -やりがいは。
 子育てに目に見える見返りはないかもしれませんが、目には見えない大切なものを本当にたくさんもらっています。
 また、今でも里親に関連した研修等に行くことがあるのですが、決して簡単な内容ではなく、知らないことばかりです。それに対して「次の誕生日で還暦という年齢なのに自分には伸びしろばかり」と思える点も良いですね。
 他の里親や子ども相談センターの方、いろいろな人との関わりが生まれたのも全ては里親をやったからこそのこと。どこかで誰かの役に立てていると実感できるのもうれしく、本当に里親を始めて良かったと感じています。

 

◆伊藤亜好さん 里子の顔つきの変化に大きなやりがい
家族構成…夫と亜好さん、2歳のときに特別養子縁組した小学3年の男の子、猫2匹。

 -特別養子縁組した男の子について。
 長年、不妊治療をしていました。そろそろ諦めなければと思っていたとき、義母から「こういう形もあるよ」と養子縁組について書かれた新聞記事を渡されました。実は私も養子縁組に興味を持っていましたが、家族に打ち明けられずにいたところでしたので、義母も同じ気持ちだとわかった瞬間から受け入れに向けて動き出しました。
 最初は養子縁組里親になりたいという思いばかりでしたが、研修を受けたり調べたりする中で、養育里親の重要さがわかったため、両方を希望することにしました。
 息子がうちに来たのは1歳のときです。しばらくは養育里親として育て、1年後に特別養子縁組をしました。真実告知は物心付く前からした方が良いと研修で聞いたため、息子には全てを話しています。周囲にも隠していません。
 -他に里子を受け入れた経験は。
 息子が年中の時、1歳の男の子を受け入れました。息子は最初のうちは嫉妬をしていましたが次第に慣れ、かわいい弟ができたという感じで1年3カ月ほど楽しく暮らしました。昨年は一時保護で1カ月ほど2歳の男の子を受け入れました。中学生の兄妹を1カ月間受け入れたこともあります。昨年の秋には10日間、中学生の男の子を預かりました。
 預かった子は皆、生活に馴染むにつれ、顔つきがどんどん変わっていきます。本当に曇りが晴れていく感じです。この変化を目の当たりにできることが大きなやりがいです。
 -里親になろうかと考えている人に向けては。
 研修を受けたり資格を取ったりしてからしか妊娠、出産をしてはいけないなんてことはありませんよね。皆さん、親になってから、多くを学び、子育てをしていきます。それは里親も同じ。決して「子育てのプロしか里親になってはいけない」なんてことはありません。安心して暮らせる家さえ提供できれば問題ないと思います。
 私が里親を始めた頃と比べ、里親についての社会的な関心は高くなっていると思います。里親をやってみようという方が増えることと同様に、望まない妊娠をして追い詰められた人やその周囲の人に「里親として育ててくれる人がいる」と感じてもらうことも大切なことだと思います。


マリサポで運命の相手探し♥ 県の結婚支援取り組み紹介

 

新型コロナウイルス感染症の影響で外出しづらくなって早2年半。「コロナの影響で出会いがない」「コロナが落ち着いたら本腰入れて婚活したい」と思っているものの、気付いたら長い月日がたってしまっていたという人もいるのでは。
 そんな独身者に一歩踏み出してもらおうと、OKBふれあい会館(岐阜市薮田南)にある結婚支援に関する県の総合相談窓口「ぎふマリッジサポートセンター(通称マリサポ)」では、コロナ禍でも安心して婚活を進めてもらおうとさまざまな工夫を凝らして出会いの場を提供している。昨年度は、1対1のお見合いを取り持つ「おみサポ・ぎふ」では15組、県内で行われる婚活イベントの情報を紹介する「コンサポ・ぎふ」では20組が成婚に至った。

 

【おみサポ】
◆1対1のお見合い支援 Uターン、Iターン婚もスタート
 マリサポでは、県内29市町が運営する公的な結婚相談所をネットワーク化した「ぎふ広域結婚相談事業支援ネットワーク」を使った1対1のお見合い「おみサポ」を行っている。利用料や成婚料は無料。
 おみサポの利用は原則、市町の結婚相談所(以下・相談所)に登録した上でおみサポにも登録手続きすることが必要。ただ、結婚を希望しているより多くの人におみサポのサービスを利用してもらおうと本年度、1年以内に岐阜県にUターンやIターンする意思がある県外在住の独身者なら誰でも登録ができる「ぎふで婚活会員」を新設。現在は仕事や転勤などで県外に住んでいるが、岐阜に戻る予定がある人も県内での婚活がしやすくなった。さらには、首都圏で暮らす県内出身者同士がおみサポ上で出会ってデートを重ね、結婚を決めたタイミングで一緒にUターンすることも可能になり、チャンスが大きく広がった。マリサポスタッフ堀充美さんは「進学や就職で一度県外に出た方の中には『岐阜に戻るきっかけがほしい』と思っている方もいるのでは。ぎふで婚活会員への登録が良いきっかけになれば」と話している。
 また、マリサポの利便性は年々高まっており、以前は相談所等に足を運ばないと登録手続きができなかったが、現在では登録からプロフィルの閲覧、お見合いまで、全てオンラインで完結させることも可能。堀さんは「コロナで出会いの場が限られていることやおみサポのサービスがオンラインで受けられるようになったことなどから、本年度に入ってからは20代や30代の登録者が増えている。それによりマッチング件数や成婚の報告も本年度は相当増えている印象。出会いのチャンスは広がっているので迷っているならぜひ登録を」としている。

 

【コンサポ】
◆イベントで新たな出会い 専用サイトで情報発信
 結婚につながる出会いを探しながらも「いきなり1対1のお見合いは敷居が高い」という人にお勧めなのが、県が県内の企業・団体や市町村と協力・連携してイベント等を行う「ぎふ婚活サポートプロジェクト(通称コンサポ・ぎふ)」。インターネットサイト「婚活イベント情報ウェブ」(https://konsapogifu.com/)では常時、2~3カ月先のイベントを紹介している。
 イベントの内容は、フォーマルなものから、気軽に食事や観光を楽しむものなどさまざま。それぞれの主催者が、初対面の男女でも打ち解けられるよう工夫を凝らして開催している。
 年齢や居住地などの参加条件を設けているものもあるため、申し込みの段階で確認する必要がある。

 

<成婚者に伺いました♥>
◆相談員とのやり取りが鍵に 各務原市の40代夫婦
 ぎふ広域結婚相談事業支援ネットワーク加盟の相談所に登録し、今年5月に入籍した各務原市の夫妻にお話をうかがった。
 -婚活のきっかけは。
 夫 40歳になる少し前に1週間ほど入院し、退院して一人暮らしをする家に帰ったときにとても寂しく感じ、結婚への思いが強くなりました。そして親の勧めもあって各務原市結婚相談所に行ってみることにしました。広域ネットワークにも登録したため、マリサポにも何度かお世話になりました。
 妻 しばらく名古屋で一人暮らしをしていました。各務原市の実家に帰った際に「そろそろ結婚を考えようかな」と母に話したら各務原市相談所のことを教えてくれました。1年半ほど前のことです。
 -二人の出会いや結婚までの流れは。
 妻 相談員さんに何人かのプロフィルを見せていただき、そのうちの一人が夫でした。「最近来ておらず、退会を考えているのかもしれない」というお話でしたのですぐに申し込み、昨年の5月30日に初めて会いました。
 夫 5月末で会員期限が切れるタイミングでした。登録後、良い出会いに恵まれていなかったものですから本当に辞めるつもりでした。「最後にこの方と会って、合わなければ退会しよう」と思ってお会いしました。
 最初はチェーンの喫茶店で会いました。話しやすい方という印象を持ちました。再び会う約束をし、そこからは週一回位のペースで各務原か名古屋で会うようになりました。
 妻 お見合いは3人目でした。これまでに紹介していただいた方も良い人という印象は持ちました。しかしなんとなく合わない気がしてお断りをしました。夫は初対面の時から「楽しそうにしてくれてる」のが伝わってきてうれしくて、この方と結婚するだろうという予感がしました。
 夫 出会ってからは自然な流れで進んでいきました。年明けには結婚を決め、5月に入籍をしました。
 妻 初めて顔を合わせた日を入籍日にしました。結婚式はしませんでしたが、写真撮影はしました。入籍に合わせて一緒に住み始めました。
 -結婚相談所やマリサポの利用を考えている方へのアドバイスがあれば教えてください。
 夫 一時期はよく相談所に通っていたので、それで相談員さんに私の人となりを知ってもらえたことが良かったのかと思います。登録だけして顔を出さなければ、相談員の方も私のことをどなたかに勧められることはなかったと思います。あとは諦めようとしていた立場から言うのも言いづらいのですが、諦めないことも大切です。
 妻 条件を絞り込むことよりも会った時の印象を大切にしていました。また、20代の時に少しだけ婚活をし、何人かと連絡先の交換をしただけで疲れてしまったことから、その反省を生かして「良い人だけど合わない気がする」と思った時には無理して2回目を設定するのではなく、お断りをして次へと動きました。その無理をしない姿勢が良かったのかもしれません。
 相談員さんは「良い人、合う人はいる」ということを長年の経験から知っていて、自信を持って声掛けをしてくださいました。相談員さんとよくコミュニケーションを取ったことも良かったのかと思います。
 行政のサービスですので本当に無料で済み、利用して良かったです。

 

◇ぎふマリッジサポートセンター
電話 058-201-0141
メール marisapo@ne-planning.com
HP https://konsapo.pref.gifu.lg.jp/
開所月曜~日曜午前9時~午後5時
※祝日、年末年始休み

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