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2025/11/17  ©岐阜新聞社

はぐくみのわPROJECT 「私らしく輝ける!岐阜で見つけた魅力的な職場」座談会

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女性が活躍する職場は、誰もが輝ける場所! 
~ワーク・ライフ・バランス推進と発信力が採用の鍵~

 少子高齢化の進展により働き手となる人口が減少していることから、幅広い業種で人手不足感が強まっている。そのため企業は、新卒を始めとする若手の採用に力を入れているが「高校や大学を回ったりイベント等でPRしたりしているにも関わらずなかなか受けてもらえない」「内定を出したのに他社に行ってしまった」などの声が上がっている。県内の一部の中小企業には「大企業ではないので」「立地が悪いから」などの諦めムードも漂う。
 一方で、誰もが働きやすい職場づくりに力を入れるのはもちろんのこと、職場環境を見直してこれまで男性のみと限定していた業務を女性にも任せたり、採用プロセスを見直したりすることで熱量の高い若手の採用に成功している企業もある。県ワーク・ライフ・バランス(WLB)推進エクセレント企業の3社で「私らしく輝ける!岐阜で見つけた魅力的な職場」をテーマに経営者と中堅女性従業員、若手女性従業員による座談会を開き、それぞれの思いを聞いた。

◆大学生、WLBを重視 県やマイナビ就職意識調査 「中小OK」4割超

 就職情報会社マイナビ(東京)が今年4月に発表した2026年3月卒業見込みの全国の大学3年生、大学院1年生の計3万6311人を対象にした就職意識調査によると、「絶対に大手企業がよい」は9・7%だったのに対し、「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」「中堅・中小企業がよい」は合わせて43・0%だった。就職観は「楽しく働きたい」(37・4%)が1位、「個人の生活と仕事を両立させたい」(25・6%)が2位で、もっとも低い項目は「出世したい」(0・8%)だった。これらのことから多くの学生が、会社の規模や出世できるかどうかよりも、楽しさやWLBを重視したい意向を持っていることがわかる。
 さらには現住所のエリア別に見てみると、東海地方に関しては「絶対に大手企業がよい」は6・8%と全国平均より低く、就職観は「個人の生活と仕事を両立させたい」が30・4%とトップだった。
 県内の大学生129人を対象にした就職意識調査では、「県内での就職を希望する」は42・6%、「わからない」が37・2%、「希望しない」は20・2%。希望する企業の特徴については「柔軟な働き方・業務効率化が充実している企業」が73・6%と最も高く、次に高いのは「育児・家庭との両立支援が充実している企業」で男性28・6%に対し、女性の46・5%が選択していることから、特に県内の女性はよりWLBを重視していることがわかる。
 一方で県内の企業についてどの程度情報を得ているかとの問いに対しては「よく知っている」は0%。「あまり知らない」「全く知らない」が計82・9%と、周知度不足が浮き彫りに〈図1〉。そのうち7割が「企業情報があれば岐阜県での就職を検討する」と答えている〈図2〉。
 新卒を始め若手の採用を目指す県内の中小企業は、場所や規模を理由に諦める必要はないものの、WLB推進に取り組むと同時に、選択肢に上がるための情報発信についても積極的に行っていけるかどうかが鍵となりそうだ。

アルプス薬品工業(飛騨市) 女性活躍推進に本腰 意見聞き、経営に生かす
若手社員 「やりたいことを最優先して入社」

座談会に参加したのは…山田義之常務取締役、総務部の石原真樹部長、総務部の福澤明香係長、入社5年目で品質保証部の小林葵さん

 -人材採用の現状は。
山田 この3年間で新卒中途の計70人が入社。今年の新卒者は高校生7人(うち女性は4人)、大卒6人(同3人)でした。
石原 地元だけでなく全国から優秀な人を男女関係なく採用したいというコンセプトで広く動いています。
小林 私は三重県出身です。昔から薬の研究がしたくて地元の大学で応用化学を学びました。やりたいことを最優先しての就職活動でしたが、就職サイトの口コミも見ました。働きやすい環境づくりに力を入れていることが書かれていましたので安心して来ました。
 私は都会よりも自然が好きだから良いのですが、一方で都会出身者からは「雪が大変で働けない」との声も聞きました。その点、地元の人はハードルが低いと思います。新人の頃、先輩の奥さんが入社したのですが、家族を入れたいと思う会社なのだとわかりうれしかったです。甥や姪、娘さんが入った話も聞きます。
山田 紹介での採用も大切にしています。悪い会社だと誰も勧めてくれませんからね。女性の採用についても力を入れています。現在は350人ほどいる従業員のうち90人が女性です。2018年に工場にも配置するようにしたことなどにより30人ほど増えました。
 配置にあたり19年には女性社員の意見や要望を集約してもらおうと女性社員6人をメンバーとした女性活躍推進委員会を立ち上げました。委員会を通して女性の意見を聞いてみると、経営面においても重要なことが多くわかってきました。

 

女性活躍推進委員会では女性の意見を集約して経営陣に伝えることで職場環境の改善につなげている。

福澤 私は20年にメンバーになりました。任期は2年です。工場への女性の配属については最初は否定の意見が多数でした。その中でまずは工場のことを知ろうと、女性従業員向けに工場見学を行い、軽作業の体験もしました。各部署の協力のおかげで全員が見学できました。見た上で「やっぱり難しい」という方もいましたが「思ったより働けそう」「ここが改善されたら大丈夫」などの声も出ました。
山田 委員会の意見などを参考にしながら、例えば力がいる仕事は業務そのものの見直しをするなど、地道に一歩ずつ働きやすい環境づくりを進めています。
小林 私は昨年、委員会のメンバーになりました。新たな取り組みとして今月には女性活躍の進んでいる他社の見学および意見交換会を計画しています。
山田 他社を見ることで新たな意見を出してもらえればと期待しています。
福澤 私が入社した20年ほど前は、女性新入社員は電話番、お茶出しで、女性の意見を吸い上げるという雰囲気はありませんでした。今は、大きく変わったと思います。中学生と小学生の子どもがいますが、私が出産した頃はすでに育休を取って復帰するという雰囲気でありがたかったです。
石原 女性の出産育児後の復職率は100%が続いています。最近では男性の育休取得率も6割ほどに上がりました。家族のための制度としては、介護短時間休暇もあるのですが、あまり取得者はいないのが現状です。
山田 制度を知らないから使えないのではと考え、女性活躍推進委員会にお願いして、男性育休や介護休暇の制度がどういうものかをまとめたリーフレットを作ってもらいました。法改正の度に内容を見直し、イラストも入れるなどしてわかりやすくしてもらっています。

 -健康経営やWLBの推進については。

健康経営の一環で、希望者を募って開催された腰痛セミナー。多様性を重要視して選択制で、健康に関するさまざまな講座やイベントを開いている。

山田 健康経営も19年から力を入れています。最初の頃は昼休みに有志を募って歩いていました。最近は「心と体の健康応援金」として、家族でハイキングに行ったりスポーツ用品を買ったりした人に支援金最大1万円を渡しています。
石原 8割近い人が申請しています。他にもヨーグルトや乳酸菌飲料など健康補助食品を定期的に配布したり健康に関するセミナーを開催したりもしています。
小林 去年は睡眠のセミナー、今年は肩こり腰痛セミナーを受けました。
石原 意見を募ってセミナーの内容を決めています。土日に親子パン教室や上高地ハイキングをすることもあります。個々にニーズがありますので自由参加で、多様性と選択できるという点を重要視しています。
 健康に関しては、他にあまりないものですとライフケア休暇。妊活(男性も利用可)、更年期障害などで必要な場合に休暇を与えています。23年度に創設と日が浅いため、また女性活躍推進委員会にリーフレットを作ってもらったりして広めていきたいです。
山田 もともと弊社は地元では男性の職場というイメージが定着していたと思います。作業的にも女性が活躍できる会社なんだということを広く伝えていき、さらなる人材採用につなげていきたいですね。

CCN(岐阜市) 社風伝える機会を創出 若手主体で採用イベント企画
女性社員 「仕事で成長したい」

座談会に参加したのは…伊藤英明社長、コンテンツ部の小西佳子係長、総務部の久松礼佳係長、コンシューマー営業部で入社5年目の兼松奈未さん

 -人材採用の現状は。
伊藤 今年が4人(うち女性が2人)、去年が5人(同3人)を新卒採用しました。岐阜市をはじめとする県内出身者がほとんどです。
久松 毎年5人前後の方に入っていただいているとは言え、エントリー数は減りつつありました。そこで昨年度からは各部署の若手従業員によるプロジェクトチームを作って採用活動をしています。
兼松 私は昨年度、メンバーでした。オープンカンパニーの担当で、ホームページではわからない肌で感じる部分を伝えたいと思って活動しました。
伊藤 どんな人がいてどんな働き方ができるかを知ってもらおうと、さまざまな従業員と関わっていただいています。地域に向けた夏祭りを毎年行っているのですが、学生の方にも来ていただき、普段と違った一面を見ていただきました。先日はバスケットボールの岐阜スゥープスの中継現場にも就活生5人が来てくれました。このような情報については昨年度からはインスタグラムでも紹介しています。
久松 プロジェクトチームで活動したことにより、エントリー数は前年比で1・5倍ほど増えました。早速手応えを感じています。

 -女性の活躍推進については。
伊藤 2015年に部署や世代の異なる女性従業員5人によるワーキンググループを結成し、他社の事例なども参考にしながら出産後も働き続けるために必要な制度についてまとめ、制度を見直しました。
久松 それ以降は出産後も働くのが当たり前という雰囲気ができ、皆さん、しっかりと両立できている印象です。
小西 私は07年に入社しました。私は古里の岐阜が大好きだということ、そして憧れのアナウンス業務や番組制作がしたくて入社しました。念願かなった一方で当時は結婚や出産で退職する女性が珍しくない時代でした。先輩方の努力のおかげで子どもを育てながら働くことへの理解がだんだんと進み、私も2回、産育休を取りました。現在は時短勤務をしながら報道やアナウンスに関する業務を続けることができています。
 役職においては、今は係長なのですが、入社した頃は女性が係長になれると思っていませんでした。自分に昇進のチャンスがあるという感覚すらなかったので、そういった意味でもやりがいを感じています。
兼松 私は5年目です。可児市出身で名古屋の大学に通っていました。就職活動のときは、ずっと働き続けていける会社かどうかが半分、もう半分は社風や業務内容を重視し、それをかなえられる地元の会社に出会えてうれしく感じています。最近結婚したのですが、結婚を機に退職という選択肢は全くありませんでした。先輩方が産育休を取って復帰している姿を見て、私もいずれはそうなれればと思っています。
伊藤 是非とも長く活躍していただきたいですね。もちろん「女性を」というわけでなく、性別に関係なく誰もが長くしっかりと活躍できる環境づくりを進めていきたい考えです。
 一方で女性特有の健康問題についても会社として考えていく必要性を感じ、本年度からはフェムケアの取り組みも進めています。
久松 9月には係長以上の従業員らを対象に、生理痛体験の機会を設けました。生理痛とは何か、生理痛、妊娠出産、そして更年期と年齢によって悩みは変わっていくということを男性従業員に学んでもらった上で開催しました。

女性特有の健康問題についての理解を促そうと、係長以上が腰に専用デバイスを取り付けて生理痛を疑似体験した。

伊藤 生理痛体験の感想を男性に聞いてみたところ、「毎月、こんな大変な思いをしているのかと知りびっくりした」と。一方で女性の中には「これくらいは軽い方ですよ」とけろっとされている方もいました。大変さを知ってもらう良い機会になりましたね。
小西 会社の理解、制度が整ってきたことにうれしく思います。女性特有の問題はありますが、そういった問題に悩む後輩へアドバイスやフォローをすると同時に、私自身が業務を通して成長していく姿を背中で見せていくことも大切だと思います。止まることなくどんどんステップアップしていきたいです。
兼松 私も常に成長したいです。今後、人生においてさまざまなライフイベントが控えていますが、制度を活用しながらこの会社で頑張っていきたいです。
伊藤 今後、会社をより良くしていくためには、今まで以上にコミュニケーションが図れる形にしていくことが大切だと考えます。他部署と関わる機会が薄い部署もあると聞きます。インフォーマルも含めて関わる機会を増やし、やりがいを持って取り組める職場づくりを今後も継続して進めていきたいです。

 

付知土建(中津川市) インスタで4人採用 楽しい投稿で注目集める
女性社員 「重機の操作ができてうれしい」

付知土建(左から)入社4年目で土木部の伊藤妃与乃さんと三尾隆介常務取締役、総務・経理担当の三尾綾子さん


 -人材採用の現状は。

三尾隆 弊社は祖父が作った会社で、父が社長をしています。いずれ後を継ぐために12年前に戻ってきました。戻ってきた当時は新卒採用が全くできていない時期でした。
 8年ほど前から採用活動に携わるようになり、近隣の高校に伺って先生に直接説明したり中途採用も含めた就職イベントに出たりし、5年前からは毎年入ってくれるようになりました。中津川北商工会青年部の活動として、他社とともに地元の中学校で仕事の説明もしています。こういった地域は、中学生に「外に出ていかなくても働く場所がある」ということを知ってもらうことも大切です。

地元の中学生に、重機やドローンについて説明する三尾隆介さん(左から2人目)

 採用活動の一環でホームページを整備し、4年前からはインスタグラムも使っています。仕事の内容だけではつまらないのではと、もともと私がサブカルチャー的な要素が好きなので、業務に関係ないことも投稿し、今では7千人近くがフォローしてくださっています。そして投稿をきっかけに、伊藤さんが問い合わせをしてくれました。
伊藤 出身は多治見ですが、祖母の家のある中津川で働きたいと思ってインスタグラムで仕事を探していたときに付知土建を見つけました。投稿写真を見た時にみんな笑顔で楽しそうだと感じて応募しました。
三尾綾 インスタグラムを始めて割と早い段階で連絡が来て、さらには現場を志望してくれていて、うれしかったのと同時にびっくりしました。
伊藤 体を動かすのが好きなので現場を希望していました。土木現場の女性従業員は前例のない中、任せていただけてうれしいです。
三尾隆 現状でインスタグラムをきっかけに入社してくれた方は伊藤さんを含めて4人います。関東から来た40代の男性は、縁もゆかりもない付知に家族で来て、空き家を購入して腰を据えて働いてくれています。良い縁ができてうれしいです。
 ただ、辞めてしまった方もいますので、広く求人をすること以上に今いる従業員が長く頑張れる制度づくりにもっと注力したいと思っているところです。
 -女性の活躍推進については。
三尾隆 5年前に工業高校出身の新卒の女性が入り、林業の担当をしていました。現場で働く女性の採用はその時が初めてでした。土木の担当としては伊藤さんが初めてです。伊藤さんには、最近では国有林の崩れた擁壁の補修など、ここから車で1時間ぐらいかかる現場を任せています。舗装されていない山道を通って行く、電波も届かない過酷な現場。上司と一緒に3、4人で作業してもらっています。
伊藤 楽しく働けています。作業服が汚れても気にしませんし私自身は「女性だから」と考えるタイプではないと思います。こういう性格を理解し、自然に接してくださっていてうれしいです。

生き生きとした表情で山間部での現場仕事に励む伊藤妃与乃さん

三尾綾 重機の免許も取りましたもんね。本当に頼もしく思っています。
伊藤 重機に乗ってる上司を見て憧れ、絶対に免許を取りたいと思っていました。去年、念願がかなってうれしいです。
 また、できあがった構造物を見た時に頑張って良かったなと思います。大変に思うことは特に思い当たりません。やりたい業務を任せていただけてありがたく思っています。これからも現場で頑張りたいです。
三尾隆 何でも挑戦するから信頼が厚い。クレーンを動かすこともでき大変助かっています。
三尾綾 資格を取って男性と同じように土木の現場で働くということは全ての女性にできることではないと思います。業務で使う資格取得に関しては、弊社が受験料を全額負担し、試験日などをこちらで調べてバックアップしていますが、本人の熱意があってこそのことです。
 私のような事務仕事よりも、天候や不測の事態への対応が必要な現場の方が大変なのは言うまでもないでしょう。こちらでできるフォローは何でもして支えていきたいです。
三尾隆 伊藤さんのような芯のある頼もしい子はなかなかいない。頑張りを見ていると、それに甘えていてもいけないと痛感します。
 今後に向けては教育体制の見直しを図っています。いろんな現場で作業をしてもらった方が力が付くのではと思っていましたが、面談をする中で、それを負担に感じる人もいることがわかりました。今年からは、担当の先輩従業員を決めて、落ち着いて仕事を覚えてもらうようスタイルを変更しました。
三尾綾 今いる人たちを大事にしていくことが一番重要ですからね。
三尾隆 会社を大きくしようなどのビジョンよりも、この地にあり続けること、そして従業員が満たされる会社にしたいですね。

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