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2021/07/15  ©岐阜新聞社

無藤先生に聞いてみよう! Join夏号 岐阜県民間保育園・認定こども園連盟presents

2021年Join春号から始まった「無藤先生に聞いてみよう」。記事を読んだパパやママからJoin編集部あてに早速、「悩んでいたことが書かれていてためになった」などの声が多数寄せられています。今回のテーマは「子どもたちが園で学ぶこと」。園での我が子の様子はなかなかわからないため不安に思っているパパやママもいるのでは。そんな気持ちに寄り添う内容です。

子どもたちが園で学ぶこと

 子どもたちは何を園で学ぶのでしょうか。それは年齢によって、また家庭や地域でどんな活動を主にしているかで変わります。例えば、乳児の内に園に入るのであれば、そこで家庭と同じように安心して過ごせることが何より大事ですし、そのため最初は見知らぬ大人である担当の保育士が親と同じように愛情深く温かく接してくれて、しかも困ったときにはすぐに助けてくれると感じられることが始まりです。でも、その上ですぐに子どもの目は周囲に広がり、園ではいろいろなものが用意されているし、同年代の他の子どもが何人もいることに気付くでしょう。今時の家庭はきょうだいがいても、少ないでしょうから、それだけでも驚きであり、興味を引きます。

 いろいろなものがあり人がいる。触っても良いのだろうかと最初は思うのですが、もちろんダメなものもあり、やり方もある程度はしてはいけないやり方があるのですが、でもたいていはやってみたいことをやってもよさそうらしいのです。そこで、園はどうやら遊ぶところらしいと分かります。危ないことをしないとか、給食は一定の時間でとか、お昼寝とか多少の約束があるのですが、後はやってみたいことをやってよい。そして他の子の様子を見ながら始めると、時間を忘れるように楽しくて熱中するようにもなります。

 滑り台ですべる。砂場で穴を掘り山にする。庭の隅で石の陰にダンゴムシがいるので、捕まえてよい。庭の花弁を取って(それも許される!)、すり鉢ですって、水を入れると、色水ができる。すごい、ふしぎ。花を変えると別な色にもなると発見する。小さな探検家であり、小さな科学者のようです。毎日が冒険なのです。目を広げると、年上の子どもが走り回り、鬼ごっこをやっている。仲間に入れてほしい。そばにいる同じ小さな子といっしょにやってみよう。年上の子が縄跳びをしている。私も練習してやれるようになろう。

 こうしてみると、園にいる3年とか5年とかというのはすごく長い時間でそこで無数の身の回りの出来事へと出会い、それを引き起こし、そこでどうなるかを観察して、そうかこうすればこうなるのかと見出します。それを「学び」と呼びます。小学校以上のような系統的な学習というより、環境にあるもの・人との出会いを通して折々に学ぶこと。それが乳幼児期の学びであり、小学校以上の学習の基盤づくりとなるのです。

 

Q&A

Q 子どもとの距離の上手な取り方ってどうすればよいですか?

 

A 子育てとは過保護になってはいけない、といって放任していてはもっといけないかもしれない。いやどうやってもちゃんと育つとおっしゃる有名人の方もいるようですが、それはもしかすると運がよかったのかもしれないし、生まれつきの才能みたいなこともあるのかもしれない―。このように親の心配はつきないわけです。そういう心配は子育ての喜びとセットのいわば裏表ですから、決してゼロにはできませんが。

 何より距離を程良く保つことがよさそうだと親が意識することがよいのではないでしょうか。そこで関わりを振り返ることができるし、親があまりにカッとなって感情的に振る舞ってもあまり良いことがないことも見えてくるからです。その上で、その都度の子どもの様子を見てみましょう。危険な行為を止めることは必要ですが、それ以外はうまくいかなくても子どもは成長してそのうちにできるようになります。そういう親のゆとりがかえって子ども自身あせらずに構えられて、よい結果につながりやすいのです。子どもがしたいことを推察しながら、可能ならそれに向けてちょっと手助けをする。できてきたら、少しずつ支えを減らしていく。試行錯誤しても大丈夫なら、子どもに任せてむしろ思いがけない発見のチャンスを待つ。手助けとして何をどの程度するかは子どもの年齢で変わっていくので、この間まで親がやっていたのが今は子どもが自分でやりたがるなんてことも多いでしょう。そういう修正を折に触れてやっていきましょう。

 

無藤 隆 先生 ( むとう たかし )

白梅学園大学名誉教授

【 経歴 】

東京大学教育学部卒業、東京大学教育学研究科博士課程中退、お茶の水女子大学教授、白梅学園大学学長・教授などを経て現職。日本発達心理学会理事長、文部科学省中央教育審議会委員、内閣府子ども・子育て会議会長などを経て、国立教育政策研究所上級フェロー、保育教諭養成課程研究会理事長などを務める。

【 主な著書 】

「幼児教育のデザイン」(東京大学出版会)、「3法令ガイドブック」(共著、フレーベル館)、「新しい教育課程におけるアクティブな学びと教師力・学校力」(図書文化)、「心理学」(共著、有斐閣)、その他。

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