岐阜県 子育て情報発信サイト はぐくみのわPROJECT
  >  はぐくみのわニュース  >  【はぐくみのわPROJECT】 里親は笑顔を守るキーパーソン 里親制度を紹介
2021/10/22  ©岐阜新聞社

【はぐくみのわPROJECT】 里親は笑顔を守るキーパーソン 里親制度を紹介

【はぐくみのわPROJECT】

里親は笑顔を守るキーパーソン

里親制度を紹介

 厚労省のまとめによると、実家庭で生活できない要保護児童の数は全国に4万5千人ほどおり、その多くが児童養護施設や乳児院などの施設で暮らしている。施設よりも家庭の方が、子どもと特定の養育者との1対1の愛着関係が形成されやすいことから、2016年の児童福祉法の一部改正で、家庭養育優先の理念を明文化。それにより、里親の重要性が改めて認識されるようになった。
 10月の「里親月間」。子どもたちの健全な成長や、明るい未来のために欠かせない重要な存在を担っている里親制度について紹介していく。

◆全国で5832人が里親と生活 8割が生活費等が出る「養育里親」
 厚労省の調査によると、19年度の認定および登録里親数は1万3485世帯(前年度は1万2315世帯)、児童が実際に委託されている里親数は4609世帯の5832人(同4379世帯の5556人)。前年度と比較して増えてはいるものの、大半の児童が依然として施設で暮らしているのが現状。岐阜県では20年度末時点で199世帯が登録し、71人が里親の元で生活している。要保護児童数は501人いることから県の担当者は「要保護児童のうち、まだ14・2%しか里親に預けることができていない。この数字を8年後までに41・7%にすることが目標」としている。
 里親と一言で言っても、家族と暮らせない子どもを一定期間家庭に迎え入れて養育する「養育里親」、養子縁組を前提とする「養子縁組里親」、虐待や非行、障害などの理由により専門的な援助を必要とする子どもを迎え入れる「専門里親」、実親が養育できない場合に祖父母らが養育する「親族里親」の4種類がある。
 厚労省の調査によると、養育里親が3627世帯と8割近くを占めている。養育里親は、原則18歳未満の子どもを、家族のもとへ戻ったり自立したりするまで受け入れて育てる里親を指し、養子縁組を希望する里親とは別。実親の戸籍に入ったまま預けられ、子どもの生活費は公費で賄われる。期間は数週間から年単位までとさまざまで、子どもと里親の状況を照らし合わせながら決めていく。
 里親になるには居住地域の子ども相談センター(児童相談所)に問い合わせ、研修を受け、登録することが必要。登録後すぐに子どもとの生活が始まるとは限らない。
 特別な資格や子育ての経験は必要なく、25歳以上であれば、高齢の方でも可能。養育に支障のない範囲であれば共働きや、18歳以下の実子がいる場合でも養育里親になることができる。

【親族里親】
実親が死亡などによって養育できない場合に親族が子どもを養育する里親

【専門里親】
虐待や非行、障がいなど専門的な援助を必要とする子どもを養育する里親

【養子縁組里親】
養子縁組によって、子どもの養親になることを希望する里親

【養育里親】
家族と暮らせない子どもを一定期間、自分の家庭に迎え入れて養育する里親

里親制度 – 岐阜県公式ホームページ(子ども家庭課) (gifu.lg.jp)

里親制度等について (mhlw.go.jp)

 

◆やりがいいっぱい里親の魅力 
 県内で養育里親として子どもを受け入れている2世帯に、里親になろうと思ったきっかけややりがいなどをうかがった。

◇気負わず自然体で受け入れ 青山典裕さん・桂子さん
[家族構成…夫妻と6歳の時に特別養子縁組した小学3年の男の子、中学1年の里子1人(実母が外国籍)]
 -特別養子縁組した男の子について。
典裕さん 子どもがいなかったこともあり里親制度に興味を持ち、7年前に登録しました。その3年後に小学生の男の子を短期間受け入れ、その次に来たのが5歳の男の子で、1年後に特別養子縁組をしました。
桂子さん 赤ちゃんの時から施設で、周りの大人からたくさんの愛情を受けて育ってきたのがわかる素直な良い子で、初めからここでの生活を楽しんでくれている様子でした。
 受け入れてしばらくたってから養子縁組が可能な状況になったので、本人にこのまま元の名前で一緒に暮らすか、青山姓になるかを選んでもらいました。
典裕さん うちの子になってくれたらと思っていたのでうれしかったですね。
 息子は自分で選んで来てくれたこともあり、状況をよく理解しています。今でも施設の頃の思い出話をよくしていますよ。
 -現在受け入れている中学生については。
桂子さん 昨年末に来ました。日本生まれですが長い間、母親の母国にいたようで、文化の違いを感じることがあります。指摘した際、ムスッとすることはありますが理解してくれます。
典裕さん 勉強机を用意してからは自分の部屋にいることが増えましたが、それは中学生であれば珍しいことではないでしょう。一緒に食事をしてテレビを見て、家族の一人として接しています。
桂子さん とは言え中学生ともなると、進路のことなど考えることが増えるため、小学校低学年の子とは勝手が違います。うちで預かっている子の場合、母親が日本のことをあまり理解できていないようですので、自立できるよう、洗濯や料理なども教えているところです。
典裕さん 母親の状況が落ち着けば再び一緒に暮らすのでしょうから、養育里親という立場で、どこまで踏み込んでいいのかは悩ましいところです。里親でなくなっても、親戚のおじさんのような立場でサポートしていきたいですね。
 -里親制度については。
桂子さん 里親と聞くと、特別なものと捉える方もいるようですが、全くそうではありません。私は外で働いていますが、家は農家で広く、いろいろな遊びができますので友達を招くような感覚といいますか、自然体で里親をしています。やりたいと思う方がもっと増えるといいですね。
典裕さん 里親はなくてはならない制度だと思います。息子との兼ね合いもありますが、今後も縁があれば引き受けていきたいですね。
 また養育里親は国から養育費等を受け取れますので身銭を切っているわけではありません。そういった意味でも、負担が増えるわけでもありませんので、自然な形で受け入れてもらえればと思います。

 

◇お祝いや旅行の“経験”提供 玉置保さん・洋子さん
[家族構成…夫妻と高校2年、小学5年の里子、秋田犬1匹]
 -始めたきっかけは。
保さん 59歳で警察官を辞め、これまでの資料等を整理していたら1枚の新聞記事の切り抜きが出てきました。「自殺未遂の少女を説得したところ、後日、本人から警察署へお礼の手紙が来た」という内容で、ふと、これからも困っている子どもたちの力になっていければという思いが湧いてきました。そこで、施設で暮らす子どもに週末だけ来てもらう「ショート里親」を始めてみることにしました。
洋子さん しばらくして、小学3年生の女の子が毎週末来ることになり、それが4年間続きました。養育里親の研修も受け、2011年に登録をしました。15年2月からは、常に誰かを預かっているという状態が続いています。全員が女の子です。
 -やりがいは。
保さん 成長していく過程を見守れることにやりがいを感じています。孫はたまにしか会えませんが、里子とは毎日関われますしね。
洋子さん とにかくかわいいです。笑顔いっぱいにおばあちゃんと呼んでもらえてパワーがもらえます。
保さん うちへは児童養護施設から来た子はおらず、自ら189(児童相談所虐待対応ダイヤル)にかけて助けを求めた子や、家族が病気になって一緒に住めなくなった子などで、里子としてうちに来る時が一番大変な時期です。人生が良くなりますようにという気持ちで接しています。
洋子さん 子どもたちとは、旅行にも行きますよ。一緒にジェットコースターに乗ったり、波のプールに入ったり。遊園地などへは夫婦2人だとなかなか行けません。とても楽しいです。
保さん この家で、いろいろな経験をしてほしいという思いから、旅行に連れて行っています。神社で参拝したり旅館に泊まったりした経験のない子もいますので。一度行けばどのように振る舞わないといけないかはわかります。誕生日やクリスマスもケーキを用意してお祝いします。こういったことですら経験のない子もいます。知らずに育つのではなく、経験をすることで、子どもたちが将来お母さんになった時に生きてくるのではと思っています。
 -大変なことは。
保さん 以前、姉妹を預かったとき、別々の学校まで車で送迎をする必要があり、毎日4往復はなかなか大変でしたね。あとは、高校生ともなってくると、スマートフォン、コンタトレンズ、日焼け止めなど、必要なものが一気に増えます。友達と遊びに行くときに、一人だけよれよれの服を着ていては不憫ですのでそういった配慮も必要です。公費ではまかないきれないこともありますが、やれることはやってあげたいと考えています。
洋子さん 弁当づくりが少し大変ですが、今は便利なものはいろいろ出てきていますから。私たちは70代ですから、この子たちがいるうちは健康でいなければ、という気持ちでいます。

\ この記事をシェアする! /
2020/07/10  ©岐阜新聞社