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2021/10/21  ©岐阜新聞社

【はぐくみのわPROJECT】 大きく広がれ子ども支援の輪 企業、地域住民のサポートが力に

【はぐくみのわPROJECT】

大きく広がれ子ども支援の輪

企業、地域住民のサポートが力に

 コロナ禍による子育て家庭の経済状況の悪化等により、支援が必要な子どもやSOSが出せない子どもが全国的に増えている。県内の子ども食堂の数は、市町村などへのアンケートではことし7月末現在で75カ所(2018年度は49カ所)、学習支援の場は70カ所(同45カ所)と、少しずつ増加しているものの、活動が知られず、周りのサポートを得られず、運営に課題を抱えているケースも多い。しかしながら一部では、企業や地域住民から食材提供などを得ることで、より子どもに寄り添った支援を提供できている。地元関係者のサポートを受けながら居場所を開き続ける2団体の取り組みを紹介する。

 

◆あしたの支援室 心を満たす地元の味 近隣企業など 子ども食堂に食材等提供
 毎週土曜日の午前中、大垣市北西部にある綾野公民館には子どもたちが続々と集まり、工作をしたり、目の前の公園で走り回ったりと思い思いに過ごす。昼になると地元の恵みがたっぷり詰まった手作り弁当が振る舞われ、子どもたちが笑顔で頬張る。経済的な困難等を抱える子どもたちが集う「あしたの支援室」の一コマだ。加えて土曜日の午後や平日夜には中学生向けの学習支援も行っている。
 開設されたのは2015年2月。岐阜市で学習支援ボランティアをしていた元小学校教諭の伊藤桂子さんが、地元・大垣にも、経済的、精神的につらい思いをしている子どもが自由に足を運べる場所をつくりたいと開設した。現在は大垣市内だけでなく養老郡養老町や不破郡垂井町などの未就学児から高校生までの40人ほどが通う。「ずっと来てくれている子もたくさんいる」と伊藤さん。保護者から進路等についての相談が来ることもあると言い、親身になって寄り添う。緊急事態宣言時は弁当の配布のみを実施し、自宅から出ることが難しい子どもに向けては配達し、顔を見てコミュニケーションを取るように心掛けている。
 学習支援や弁当づくりには、退職教員や現役の会社員など、さまざまな経歴の25人が携わっているが「子どもたちのために」と動いているのはボランティアスタッフだけではない。食肉卸小売業の養老ミートは、活動が始まってまもない時期から牛肉や豚肉、ウインナーなどを、JAにしみのも5年前から、野菜や米などを提供している。今年に入ってからは、惣菜製造販売のデリカスイトが、販売用に作った炊き込みご飯等のあまりを弁当の配布時間に合わせて納入。企業側としては、子どもたちに喜んでもらえるだけでなく、食品ロスの削減にもつながるというメリットがある。自動車部品メーカーの太平洋工業や奉仕団体の大垣キワニスクラブ、地元の教会、フードバンク、他にも多くの企業や個人からの寄付金やお菓子、教材等の提供があり、食材は弁当に使ったり、各家庭に配布したり。寄付金は足りない食材の購入費に充てるなどしている。伊藤さんは「食品や寄付金以外にも、地域の方が公園を美化してくださるなど、本当に多くの企業や個人の支えのおかげで活動を継続できている。大変ありがたい」と話している。


 一方で伊藤さんは「支援できているのはほんの一握りの子どもだけ。もっと多くの場所で居場所づくりをしていく必要がある」と考え、市内外の居場所運営者と頻繁に意見交換を行う。また、生理用品を買う経済的余裕がない「生理の貧困」が社会問題になっているのを受け、配布できるよう体制を整えている。「コロナの影響で、子どもたちや保護者がつらい思いをしたり、公民館を開けなかったりと厳しい状況が続くけれど、『どのような子どもたちにも、あしたに希望を』の思いを胸にこれからも地域の方々と共に活動を続けていきたい」としている。

【あしたの支援室を支える企業・団体】
養老ミート→牛肉、豚肉、ウィンナー
JAにしみの→野菜、果物、米
デリカスイト→炊き込みご飯
太平洋工業、大垣キワニスクラブ等から寄付

 

 

◆梅子の家 ほっとできる居場所に 弁当振る舞い見守る
 デイサービスセンターとして使われていた施設を拠点とする岐阜市長良の「梅子の家」。2013年のセンター閉所後、看護師として働いていた齊藤恵津子さんらが中心となって、地域の高齢者が自由に集える場として施設を再オープンさせた際、ふと「子どもたちの居場所も少ないのが現状。ここで遊ぶ子どもがいてもいいのでは」との思いから、14年夏に子ども食堂をスタートさせた。


 夏休みなどの長期休みの平日を中心に子ども食堂を開催している(緊急事態宣言発出後は弁当を持ち帰りで提供)。未就学児から高校生までの25人ほどが顔を出す。料理は施設内のキッチンで、料理人経験のあるボランティアらが中心となって腕を振るった本格的な内容で、食材費は主に岐阜市からの補助金や企業等からの寄付でまかなっているが、市内外の農家や個人から旬の野菜の提供を受けることもある。
 子ども食堂の前後の時間や、長期休み以外の土曜日午後(月2回)も施設を開放しており、子どもたちはのんびり過ごしている。齊藤さんは「ここは学校でも家でもない第3の居場所としてくつろいでもらう場所。ボランティアはほぼ全員が70代。年の功があるので、いつもと違う表情をしている子がいればすぐに気付け、注意深く見守れる」と話し、困っていることを聞いたり、一緒に悩んだりしてそっと寄り添う。
 齊藤さんは「長い時間一人で留守番をしなければならない子などがおり、第3の居場所の重要性を感じる。準備は大変だが、これからも続けていきたい」と話している。

◆居場所づくりの開設・運営を支援 県がアドバイザー派遣
 県では、子どもの居場所(子ども食堂、学習支援等)を新たに開設しようとする団体や、実施中の団体に対して助言を行う「子どもの居場所づくりアドバイザー」の派遣を行っている。
 支援内容は、スタッフや活動拠点の確保、子どもとの接し方、各種補助金等の活用方法などについて、県の委嘱を受けたアドバイザーが親身になって答えるというもの。場合によっては県や市町村の職員や社会福祉協議会職員が同席することもある。講師料・講師の交通費は無料。問い合わせは県子ども家庭課、電話058(272)1111(内線2689)。

 

◆相談や食料配布をNPO団体に委託 県が緊急支援
 県では、昨今のコロナ禍で経済的、精神的につらい思いをしている子どもや保護者が必要な支援を受けられるよう、相談業務や訪問支援、食料配布等を、子ども食堂や学習支援などを運営するNPO団体等に委託する緊急支援を実施している。
 実施拠点は県内の14カ所。10月からはさらに1カ所が追加となる予定。上記の「あしたの支援室」も実施拠点の一つ。各拠点では行政等につなぐための相談支援や、他の子どもの居場所に対する助言や情報共有、さらには子どもが抱える困難や居場所が果たす役割を地域住民や企業担当者に伝え、協力依頼を行っている。

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2020/10/09  ©岐阜新聞社