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2020/09/20  ©岐阜新聞社

はぐくみのわPROJECT 広がる子ども支援の輪 支援団体と地域、行政の取り組み

 子どもの7人に1人が貧困、特にひとり親家庭の子どもは半数が貧困(2019年国民生活基礎調査)という現代。例え生活が苦しくても、子どもたちには安心して笑顔いっぱいに過ごしてもらおうと、さまざまな支援が行われている。今回は岐阜市で無料塾を開く「岐阜キッズな(絆)支援室」と、昨年度から学習支援室「マイルーム」を開く岐南町社会福祉協議会の取り組みを紹介する。

◆岐阜キッズな(絆)支援室 本当の自立まで見届け コロナ禍では食料配布 
 「岐阜キッズな(絆)支援室」が発足したのは2012年のこと。東日本大震災の被災地でのボランティア活動に力を入れていた元教員の若岡ます美代表=岐阜市=ら3人が、福島県から岐阜に自主避難してきた子どもたちと会った際、経済的な困窮や新生活に馴染めていないことなどから、笑顔が少なかったことに衝撃を受け、安心して楽しめる居場所になればと、学習指導や食事の支援を行う「てらこや無償塾」の活動を開始した。
 教員をしていた頃から若岡代表は「貧困の連鎖を止めたい。家庭の経済格差で教育が満足に受けられない子どもをなくすために無償塾を開きたい」という考えを持っていたことから、地域の子どもたちも受け入れ、小学生から高校生までの10人が集まる形でスタート。現在は小中高生120人、スタッフ40人が登録する大きな輪となった。
 毎週土曜日に岐阜市の円徳寺に集まり、元教員らボランティアが午前中はマンツーマンで子どもの学習のサポートをし、一緒に昼食を作って食べ(子ども食堂)、午後からも勉強や希望者にピアノやそろばん等を教えるというのが大まかな流れ。小学校低学年で通い始め、中学生になっても続けている生徒も多く、子どもたちからは「土曜日も母親が働いている。無償塾でみんなと過ごせてうれしい」「進学に向けてのアドバイスもしてもらえて心強い」などの声が上がっている。
 資金面に関しては、最初は若岡代表らの持ち出しだったが、市の事業を受託し助成金を受けられるようになって安定。バス等で通う子どもに交通費を支給できるようになった。卒業生を対象とした給付型奨学金も創設。7人が看護師や保育士になるために大学等に進学するという。不登校の子どもにもきめ細かなサポートを行い、これまで希望者全員の高校進学を実現させている。
 15年には無償の学習支援を行う6団体で「ぎふ学習支援ネットワーク」(中川健史代表)を立ち上げ、現在は13団体が密に連携。若岡代表は「岐阜市内であれば日曜日以外は毎日どこかで学習支援が行われている状態ができた。掛け持ちしている子どももおり、居場所づくりにつながっている」と手応えを話す。
 新型コロナウイルスの影響で、国の緊急事態宣言発出中は無償塾を休止。6月に再開したが、県独自の緊急事態宣言発出で再度休止し、解除を受けて9月に再開させた。
 ただ、休止の間も登録者へのサポートは継続。小中高校が休校になった3月からスタッフで手分けをして約50世帯を訪れ、食料を配布。緊急性が高いと判断した家庭には毎週のように届け、子どもが食事で困らないように配慮していた。食料の多くは県内の農家や団体等から寄せられたもので、3~5月の3カ月間で配布した米の量だけでも700キロに上った。訪問の際、子どもの様子を確認したり、保護者に住宅確保給付金の申請用紙を渡したりと、学習支援の枠を超えて寄り添う。7月からは、団体でタブレットとWiFi(ワイファイ)ルーターを貸し出し、中高生を中心にオンライン学習にも取り組んでいる。8月からは大手学習塾の協力を受け、受験生4人にオンライン講座を無料で受講する機会も与えている。
 若岡代表は「小学生の時から自立まで長期間継続して見守ることができることが強み。もちろん地域や行政のサポートもある。自立に向けて歩んでいる子どもたちのためにこれからも続けていきたい」と話している。

◆岐南町社協マイルーム WiFi完備の学習室が拠点 学びたい意欲支える 学習後は保護者と夕食楽しむ 
 月2回、水曜日夕方の羽島郡岐南町総合健康福祉センター(同町野中)の学習室には、元気いっぱいの小中学生が次々と集まり、あいさつが済んだら、ボランティアスタッフとマンツーマンで座って勉強を開始。多くの子どもは学校の教科書や宿題を開いているが、中にはスクリーンに映し出された問題を一生懸命解いたり、タッチパネル端末上で問題を解いて、別の端末から答案のチェックを受けたりする子どもの姿も。無償の学習支援室「マイルーム」の一コマだ。
 町社会福祉協議会が、町内の就学援助世帯やひとり親家庭の子どもたちの学習習慣の形成や学力の向上を目指して、県の委託事業として昨年度に開始。WiFi(ワイファイ)の環境が整った場所を拠点としたことで、情報通信技術(ICT)を活用した学習にも対応している。
 新型コロナウイルスの影響で7月の開始となった本年度は、小学2年から中学2年までの10人が登録。休憩時間には学年に関係なく交流している。中学生のひざに乗って遊んでいた小学2年の男の子は「勉強時間が2時間もあって大変だけれど、みんながいて楽しい」と笑顔を見せる。
 指導に当たるボランティアは教員経験者や元会社経営者、農業従事者など多彩な顔触れがそろう。立ち上げ段階から関わる74歳の元会社経営者の男性は「自身も母子家庭育ちで同じ境遇の子たちの力になりたくてボランティアをしている。ここでは自然とデジタル機器に慣れることもできる。学校でデジタル機器を使う際、友達に教えることができたという話を聞くこともあり自信になっている様子」と目を細める。
 マイルームの日には、岐南まちづくり女性協議会が行う「なんカフェ子ども食堂」も同じ場所で開催。昨年度は、子どもと保護者は、同女性協議会のメンバーと会話を楽しみながら夕飯を食べていたが、本年度は夕食を弁当に切り替え、自宅に持ち帰って食べる方法に変更した。迎えに来た母親は「子育てと仕事に追われる中、月に2日だけでも宿題を見てもらえ夕飯をいただけることで、ほっと一息できる時間ができてありがたい」と話している。
 町社会福祉協議会の担当者は「立ち上げ時から岐南まちづくり女性協議会とは連携させていただいていてありがたい。コロナ禍であっても子どもたちのために工夫して続けていきたい」としている。

◆学習支援ボランティア募集
 学校の授業がない時間帯に、子どもたちが安心して過ごせる場を提供しようと、地域の有志が公共施設や寺などで開いている学習支援教室。県では、同教室を支える学習支援ボランティアを募集している。
 同教室は県内に51教室(今年4月現在)あり、開催日時や対象年齢、活動内容は教室によって異なる。ボランティア希望者は、活動可能な市町村や日時、支援内容などを申込書に記入し、県子ども・女性局子ども家庭課に提出する。県が希望内容を確認してマッチングをする。申込書は県のホームページからダウンロードできる。問い合わせは同課、電話058(272)1111(内線2689)。

◆ひとり親の悩みに寄り添う 県ひとり親家庭等就業・自立支援センター
 ひとり親の仕事と子育ての両立をサポートしている県ひとり親家庭等就業・自立支援センター。サポート内容は、就職支援、資格取得のための講習会やセミナーの開催、家計個別相談、養育費・面会交流などの取り決めの相談など多岐に渡る。
 10月から来年1月にかけて開かれる就業支援セミナーと養育費講習会、家計管理・生活支援講習会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に細心の注意を払って開催。講師の前にアクリル板を設置したり、長机に1人ずつ座るようにしたりするほか、一部のセミナー・講習会は会場に足を運ばなくても受講できるよう、事前に申し込みのあった希望者に対し、講義の様子をビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で配信予定。堀秀子センター長は「遠方に住んでいる方でもズームで参加することができる。良い機会と捉えて気軽に参加してほしい」と呼び掛けている。同センターへの相談やセミナー・講習会についての問い合わせは、電話058(268)2569。

◆居場所づくりの開設・運営を支援 県がアドバイザー派遣
 県では、子どもの居場所(子ども食堂、学習支援等)を新たに開設しようとする団体や、すでに実施している団体に対し、開設や運営についての助言をする「子どもの居場所づくりアドバイザー」の派遣を行っている。
 支援内容は、スタッフや活動拠点の確保、子どもとの接し方、各種補助金等の活用方法などの相談に対し、県の委嘱を受けた、子どもの貧困や学習支援、子ども食堂の運営などで豊富な経験があるアドバイザーが親身になって答えるというもの。
 派遣回数は原則、1団体につき通算3回以内で1回につき2時間まで。講師料・講師の交通費は無料。希望者はまず、県子ども家庭課子ども支援係に問い合わせ、相談内容に応じて県が適切なアドバイザーを選定して提案する。問い合わせは県子ども家庭課、電話058(272)1111(内線2689)。

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