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2020/12/26  ©岐阜新聞社

はぐくみのわプロジェクト 清流の国ぎふ女性の活躍推進フォーラム

ぎふ女のすぐれもの 女性の視点、新時代をひらく 


◆女性が考えた4つの商品・取組 「すぐれもの」に認定
 女性が企画・開発に参画した商品の中から優れた商品を県が認定する取り組み「ぎふ女のすぐれもの」。2018年度に始まり、昨年度までに22商品が認定を受けている。
 本年度はコロナ社会を受け入れて創造力を発揮する女性の活動にも焦点を当てるため、新たに「取組」も認定対象とし、さらには、人々の新しい考え方や生き方に順応した「持続可能な社会の実現に向けた対応」を審査基準に加えた。計33商品・取組の申請があり、有識者の厳正な審査を経たうえで4つの商品・取組が選ばれた。
 本年度の認定式とアドバイスディスカッション会等を行う「清流の国ぎふ女性の活躍推進フォーラム」が18日、大垣市加賀野のソフトピアジャパンで開かれ、女性たちの創意工夫に富んだ取り組みをたたえるとともに、新たな時代を生きるヒントを探った。

◆「共感してくれる人を探すべき」「動画を効果的に活用を」 審査委員ら今後の展開を助言
 フォーラムでは、県知事が本年度の認定商品・取組の完成度をたたえ「ぎふ女のすぐれものには2つの狙いがあり、岐阜のすぐれものを発見、発信すると同時に、優れた『ぎふ女』を発見、発信するというもの。コロナ禍において、ぎふ女がどう変容し活躍しているかもポイントの一つ。県を代表するすぐれものとして、しっかりとアピールしていくことも大切」とあいさつ。代表者に美濃手すき和紙でできた認定証を手渡した。
 アドバイスディスカッション会では、認定審査委員会座長で株式会社Fifty代表取締役の佐藤美加氏と、同委員会副座長でデザイナーの鷲見栄児氏、清流の国ぎふ女性の活躍推進会議座長の小川信也氏、日本ホリスティックビューティ協会代表理事の岸紅子氏、ジャーナリストの佐藤俊郎氏が登壇。商品や取組の開発に携わった5人から質問を受け付け、それぞれが経験を交えながらアドバイスを送った。
 柿みつを手掛けた三藤の関口結香さんは「商品完成後に価格や売り方を考えたので、いろいろと壁にぶつかった。戦略の決め方を教えてほしい」と質問。鷲見氏は、年間の製造本数を聞いた上で「年間千本ということであれば、売るのに必要なのは共感。大きな市場を探すより共感してくれる周りの人から広めていけば良いのでは」とアドバイス。佐藤美加氏は「柿みつを寿司職人に渡したら『甘さそのものを生かすよりしょっぱいものにかけると際立つ』と言っていた。使い方のヒントがあれば手を出しやすい」と提案した。
 「カエ~ルピカピカ」せっけんを作った養老町女性会議の大橋美智代さんからの「地域発展につなげていくにはどのような考え方で活動していけば良いか」との問いには、岸氏が「廃油を石けんに変えてもらえるとはすごい仕組み。若い世代と連携してネット上で廃油を集めてもらうなどして、活動丸ごとに周囲を巻き込むことで、仕入れも仕出しも全てがつながって円を描けるのでは」と話した。小川氏は「お水がお酒に変わったという養老孝子伝説の地で、天ぷら油が石けんになるとは養老ならではの話。小中学校の実験で、石けんづくりをするところもある。思いを子どもたちに語って共有することで、その家族にも広がっていく」とした。
 市民講師を招いた体験型のアフタースクールを行うヒトノネの篠田花子さんは「集客の広報をする際のポイントは」と質問。佐藤俊郎氏が「場の雰囲気が最大のPRポイントになる。ホームページに面白い話を聞いて目を輝かせている子どもの写真が載っていたが、あの雰囲気は動画の方が効果的。YouTubeなどを活用していくべき」とアドバイスした。
 飛騨市薬草ビレッジ構想推進プロジェクトへの取組を進める地域おこし協力隊の岡本文さんは、飛騨市の薬草について紹介した後、「飛騨市に来て取り組んでみたいことは」と投げ掛け、佐藤美加氏が「宿泊施設をプロデュースし、富裕層に薬草を体感させ、共感の輪を広げたい」と答えた。佐藤俊郎氏は「飛騨=薬草というのは最大のアピール。私はお酒が好きなので、百薬の長のお酒と薬草をマリアージュさせ、美加さんのホテルで出したい」と応じ、夢を膨らませた。

◆自然×女性のパワー再確認 コトークセッション コロナ社会やSDGsを探る
 トークセッションでは、佐藤美加氏が司会役を務め、岸氏、県知事が登壇。「withコロナ社会の女性の活躍」をテーマに意見を交わした。
 まず佐藤氏が岸氏に、自然や環境に強い関心を持ち始めたきっかけについて質問。岸氏は「自分や家族の病気をきっかけに予防医学、さらには自然に関しても興味を持ち、私自身が自然の賜物で、自然に生かされていると気付いた。発酵食品に興味を持ったのは娘の重度のアレルギーが理由。そのうちに微生物に行き着いた。今ではアレルギーや障害=不幸ではない。小さなことでもできる喜びを感じていくことで幸せ体質になれると考えている」と答えた。
 続いて佐藤氏は、SDGs(2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標)の達成に向けて、優れた取り組みを提案する都市を国が選定する本年度の「SDGs未来都市」に県が選ばれたことを紹介。県知事は「清流の国ぎふには、国連の掲げる17の目標すべてに該当するものがある。プロセスはそれぞれでという点がSDGsの面白いところ」とし、貧困に重きを置いていた前身の2000年に始まったMDGs(ミレニアム開発目標)について語った。岸氏は「貧困だけを考えていても解決しない。このままの生活を続けていくと近いうちに気候変動が深刻になり、地球上に人類が住めなくなると言われている。残り時間は少ない。技術革新に希望の光を見いだす一方、一人一人ができることもたくさんある」と話すなど、議論を深めた。
 サーキュラーエコノミー(循環型社会)についてや、コロナ禍におけるワーケーションについての話題も出た。岸氏は「今の資本主義は環境に負荷がかかり、弱い者からの搾取が起こっている。豊かさを味わいながらみんながこのループから降りられる社会にしないと次にシフトできない。豊かさとはと考えたときに基盤になるのは地域。コミュニティーや資源、人、技術があるところなら豊かな形で降りられる。そこで次の生き方を体現できるのでは」と持論を展開。佐藤氏も「自然豊かな岐阜は実に魅力的。岐阜の人は自分たちの住んでいるところがいかに豊かなのかを感じてほしい」と古里に目を向け、自然を生かしていく大切さを説いた。
 県知事は「自分たちの地域の魅力に気付いていない人は多い。県外、海外に持っていき、見てもらうことでどんな反応が返ってくるか。海外戦略の中で人の目を借りることで魅力に気付くことができる。その変容、改革の切り口は、地域の中でも女性。女性の目線は斬新なものを感じるので、これからも大切にしていきたい」とし、コロナ社会においての女性のさらなる活躍に期待を込めた。

◆会場内で認定品をPR 来月、岐阜高島屋で販売会も
 会場では、本年度認定を受けた「ぎふ女のすぐれもの」展示・販売会を開催。女性の活躍推進フォーラムの開演前後の時間帯には、開発に携わった女性自らがブースに立ち、来場者に商品や取組の魅力をPRした。
 今回の認定に合わせて、1月20日から26日まで、岐阜市日ノ出町の岐阜高島屋で「ぎふ女のすぐれものフェア」を開催。これまでに認定を受けた商品を買うことができる。
 3月には首都圏での展開もあり、セレクトショップ「EQUALAND」(東京都渋谷区)での展示・販売や、国内外のバイヤーやメディア関係者とつなぐビジネスマッチングイベント「PR01.TRADE SHOW」(同)への出展も予定されている。

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